2011/09/20

Kinder-und Hausmaerchen / Misuzu-und Tokyomaerchen (KHM 2011)

大山美鈴展
『Kinder-und Hausmaerchen / Misuzu-und Tokyomarchen (KHM 2011)』
(子どもとおうちメルヘン、美鈴とトウキョウメルヘン)
2011年6月13日(月)〜19日(日)

(ごあいさつ)
本日は大山美鈴の展覧会においでいただき、本当にありがとうございます。

小さいころから絵をかいてきましたが、私にとって絵は好き嫌いを超えた家族みたいなもので、
ずっと憧れて大好きでしょうがないもの、それは本です。

私は絵をかくとき大体いつも、小さいころから読んできたお話を別のお話と組み合わせたりして
それによって自分の感情の流れ、まわりの環境や動きと重ね合わせて表現してきました。
一枚の絵のなかに、一冊の本や映画のようにすべての時間とお話が展開していて、
眠れない夜に、読むようにみる絵です。
作品がどんな形をとるときもその景色があるところは同じで、
私は最近それを「夜眠れない子たちがあそびにくる場所」をかいているんだなと思うようになりました。

今回の展示は日独交流150周年記念イベントのひとつということで
ドイツと自分との関係を考えたときにすぐ浮かんだのが、グリム童話とミヒャエル・エンデです。
私の世界をつくり出しているもとの世界がたくさん、ドイツ文学のなかにあることに今さら思い当たって、
時間がかかったけれど自分のお家にかえってきたんだなという気もしました。

展覧会タイトルの、『Kinder-und Hausmaerchen』は、日本でいうところの『グリム童話』の原題で
「こどもとおうちのメルヘン」といったかんじです。
これを私に置き換えたのが『Misuzu-und Tokyomaerchen』、「ミスズと東京のメルヘン」。
私の世界にとってグリム童話はなつかしいお家ではありますが、
語られてたときにきいていた、ドイツの子どもたちが思い浮かべた森や動物たちと、
グリム兄弟がまとめたときのけしき、
さらにそれから私がずっと後になってお話から連想するもののあいだには時間と空間の大きなずれがあって、
その間に歴史的につくられてきたものと、
あともっと個人的なところでつくられてきたすべてのことがつまっていて、
そのずれの部分をここ、電柱とネオンでいっぱいの東京で一回、ピンをさし、
google mapsのように足跡にしておきたいなと思っています。

そしてみなさまの記憶にも一ヶ所、なにかしらの足跡を残すことができたら
とてもうれしいです。

大山美鈴




「13gift」(「眠り姫(野ばら姫)」)
眠り姫は13番目の魔女の呪いによって、お城ごと時間と空間を
標本のようにとめられた状態で100年後にタイムスリップするのだけど、
私は絵でお話を描くことによって時間と空間をガラスケースに保存し、未来へ送ることができる。
その呪いとしての絵をかいている、東京の28歳の私、そのことを意識しながら作品をつくりました。
giftは英語ではプレゼントとか天賦の才、だけれどドイツ語では毒という意味だときいて
魔女のプレゼントでしかも呪いというところにぴったりだなと思ってつけました。


私のデザインをもとにしてクッキーアーティストのcookieboyさんが作り上げてくださった
TOKYO marchen と、グリム兄弟さんたち。
すてきー!かわいいうれしい初コラボレーション。
近くに行くとヘンゼルとグレーテルに登場するおうちみたいな、甘いいいにおいがしました。


会場では、来場したみなさんをその場でひとりひとり描いてゆきました。
ハーメルンの街にあるみたいなねずみのお面をかぶらせて、
ハーメルンの笛吹きの大行進になりました。
まだ途中。


(ブログの記事)

みなさまどうもありがとうございました!